ハーレーの基礎メカニズム

ハーレーの経営再建への道のり

ハーレーの経営再建

ハーレーといえば、「キング・オブ・モーターサイクル」と呼ばれるアメリカを代表する企業ですが、その長い歴史の中でこれまでに何度も経営危機に陥り、そのたびに不死鳥のように復活を遂げてきたということを知っているという方は意外と多くはないのではないでしょうか。同社が最初に危機を迎えたのは、1930年代の世界恐慌の時です。わずか1年程のうちに売上台数が7割近く減少したのですが、オートバイ用のエンジンを元に産業用エンジンを生産するといった斬新なアイデアでこの危機を乗り越えています。

1970年代においても同社は深刻な危機を迎え、その結果、1981年には投資家グループによって買収されることとなります。この時は、ジャストインタイム方式の徹底した生産管理を行い、無駄なコストを極力削減して見事経営を立て直しました。ハーレーの人気が高まっていた日本向けのモデルを開発し、これがヒットしたことも売り上げの回復に寄与したのです。

その後、順調に成長を遂げていったハーレーでしたが、2000年代後半に発生した金融危機によって大きなダメージを受け、またもや経営不振に陥ります。この危機を抜け出すために、ハーレーは大規模なリストラに着手しますが、当時のトランプ政権のアメリカファーストの政策に反するとして強い非難を受けました。そこで、経営再建を果たすべく、同社は経営方針を転換し、他社で経営を立て直した実績を有する人物を新たなCEOとして迎え入れることにしました。それとともに、高コスト構造にメスを入れるべく、役員報酬の30パーセントカットに加え、聖域とされていた従業員の給与カットにも踏み込むなど、総力を上げて経営の立て直しを図っているのです。バイク離れが続くアメリカにおいて、ハーレーの経営を立て直すのは容易ではありませんが、世界中に数多くのファンがいるハーレーは、これからも紆余曲折を経ながらもバイク業界の第一人者として成長し続けていくことでしょう。